インフラ不要・自然言語で設定するAI定期実行:Claude Code Routinesを使い始める

はじめに

毎朝8時、ターミナルを開く。同じコマンドを打つ。また今日も。

それが5分で終わる作業だとしても、「今日もやらないといけない」と頭の片隅に居座り続ける感覚は消えない。スクリプトの実行時間ではなく、それを覚えておくことのコストが積み重なっていく。

Claude Code Routinesを設定した翌朝、その手順はターミナルから消えた。AWSのコンソールも、GitHub Actionsの設定ファイルも触っていない。「毎朝8時にこれをやる」とプロンプトに書いただけだ。

2026年4月14日、AnthropicはClaude CodeにRoutinesという機能を追加した(リサーチプレビュー)。YAMLを書いてCI/CDパイプラインを組みたい場合は当ブログのheadless-cicd記事を参照してほしい。


Routinesとは何か。cronでも、GitHub Actionsでもない理由

RoutinesはAnthropicのクラウドインフラ上で動作するAI定期実行の仕組みだ。設定したプロンプト・リポジトリ・トリガーをひとまとめにして、指定したタイミングで自動実行する。PCを閉じていても動き、実行中に承認を求めてくることもない。

cronGitHub ActionsClaude Code Routines
実行単位コマンドワークフローAIがコンテキストを持ったセッション
エラー対応止まるだけ止まるだけAIが文脈を理解して対処を試みる
設定方法シェルYAML自然言語プロンプト
インフラ自前サーバーGitHub/自前Anthropicクラウド(設定不要)
設定者エンジニアエンジニア誰でも

差分は2点に絞られる。「何をするか」を自然言語で書けること、そして実行基盤を自分で用意しなくていいことだ。

GitHub ActionsとRoutinesは競合ではなく役割が異なる。CI/CDパイプラインの精密な設計やデプロイフローの制御はGitHub Actionsが向いている。「定期的にAIに何かをやらせたい」という用途がRoutinesの領域だ。


APIトリガー——エンジニア以外が設定できる自動化

Routinesのトリガーは、スケジュール実行・GitHubイベント連動・APIトリガーだ。

最初にAPIトリガーを紹介するのには理由がある。Slackコマンドから直接Routinesを起動できるため、エンジニア以外のメンバーやEMが自分で使える自動化の入り口になるからだ。

Routinesを作成すると、そのルーティンごとに専用エンドポイントと認証トークンが自動発行される。外部システムからHTTP POSTを送るだけで起動する。

# Slackコマンドから呼び出す例

curl -X POST https://api.anthropic.com/v1/routines/{id}/trigger \

-H "Authorization: Bearer {token}" \

-d '{"message": "今日のPRをレビューしてください"}'

この仕組みを使うと、Slackの `/review` コマンドを実行した瞬間にRoutinesが起動し、最新PRのコードレビューを開始してSlackに結果を投稿する、という流れが作れる。Zapierと組み合わせれば、売上データが更新されたタイミングでドキュメントを自動更新するといった用途も対応できる。

EMがチームの定型作業を自動化したいとき、エンジニアに頼まずに自分で設定できる最短ルートがここにある。


スケジュール実行とGitHubイベント

スケジュール実行

毎時・毎晩・毎週・平日といったプリセットから選ぶか、`/schedule update` でcron式を直接指定する。

使い方として分かりやすいのは毎晩のバグ修正ルーティンだ。

毎晩2時に実行:

1. Linearから最優先バグを取得

2. 該当コードを読んで修正を試みる

3. ドラフトPRを開いて担当者にメンション

朝起きたら「修正候補のPR」が届いている。コードを書いたのはAIだが、内容を確認してマージするかどうかを判断するのは人間だ。

EMが使いやすいのはイシュートリアージの自動化だ。毎平日夜にイシュートラッカーから当日のイシューを収集し、ラベル付けと担当者アサインを行ってSlackに翌朝サマリーを投稿する。このプロンプトはEMが自分で書いて設定できる。

GitHubイベント

PRの作成・マージ・リリースといったリポジトリイベントをトリガーにできる。PR作成時に自動でセキュリティ・パフォーマンス・テストカバレッジの観点でインラインコメントを付けるユースケースが代表的だ。

GitHub ActionsのCI設定を書いてパイプラインを組むアプローチとは異なり、こちらはインフラ設定ゼロで動く。詳細なパイプライン制御が必要なケースは当ブログのheadless-cicd記事のGitHub Actions設定を参照してほしい。


設定方法と利用制限——使う前に把握しておくこと

Web UIから作成する手順

1. [claude.ai/code](https://claude.ai/code) にログイン(Pro以上のプランが必要)

2. 左サイドバーの「ルーチン」をクリック

3. プロンプト・リポジトリ・トリガーを設定

4. 保存して有効化

CLIで管理したい場合は以下のコマンドを使う。

/schedule          # ルーティン作成

/schedule update # 既存ルーティンの編集

/schedule run # 手動で即時実行

利用制限

プラン1日あたり実行上限
Pro5回
Max15回
Team / Enterprise25回

上限を超えた場合はExtra Usageで追加実行が可能だ。RoutinesはインタラクティブセッションのAPIと同じ利用枠を消費する点も覚えておきたい(出典: Anthropic公式ドキュメント)。

日常使いで2〜3本のルーティンを動かすならMaxで十分対応できる。チーム全体で複数人が使う場合はTeam/Enterpriseプランを検討したい。


よくある疑問

**Q: cronやGitHub Actionsで十分では?**

cronはコマンドを実行するだけで、エラーが出ても止まるだけだ。GitHub ActionsはYAMLで記述したワークフローを実行するが、AIがログを読んでエラーの原因を判断することはできない。Routinesの差分は「AIがコンテキストを持った状態でセッションを実行する」点にある。設定もYAMLではなく自然言語だ。GitHub Actionsとの高度な連携を組みたい場合は当ブログのheadless-cicd記事を参照してほしい。

**Q: 失敗したときどうなる?**

セッションログが残り、結果通知が届く。失敗の原因をAIが記録するため、次の対処を判断しやすい。

**Q: セキュリティは大丈夫か?**

リポジトリへのアクセス権限は設定時に明示的に指定する。必要最小限の権限で動くよう設計されている。

**Q: Pro 5回/日は少ない?**

日次ルーティン3本と週次ルーティン2本程度の日常用途であれば5回/日でも運用できる。大量実行が必要な場合はMaxかTeam/Enterprise向けだ。

**Q: 自前サーバーは必要か?**

不要だ。Anthropicのクラウドインフラで動くため、自前サーバーもDockerも用意する必要はない。


まとめ

今日の退勤前に、毎朝手動でやっていることを1つ書き出してRoutinesに渡してほしい。それだけで、明日の朝から「また今日も」という感覚が一つ消える。

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