出先のカフェで「あのコード、自宅PCでやりかけだったな」と思ったことはないだろうか。Claude Codeをローカルで使い始めると、どうしても「自分のマシンがないと何もできない」状態になりやすい。でも2026年春以降、それはもう過去の話だ。
Anthropicは「Claude Codeをどこで動かすか」という問いに対して、3つの実行モードを提供している。ローカルCLI・クラウド実行・リモートコントロール、それぞれ違う問題を解く。どれをいつ使えばいいか、コマンドと判断基準を整理しておく。
ローカルCLIが依然として基本
まず前提として、自分のマシンで claude コマンドを叩く従来のスタイルは、デスクワーク全般で今も最速の選択だ。MCPサーバー、ローカルファイル、プロジェクト固有の設定がそのまま使えて、認証周りの手間もない。
ただし「端末に縛られる」という制約は残る。自宅PCで動かしたセッションは、スマホからは見えない。別のPCで続きを始めようとすると、コンテキストをゼロから積み直す必要がある。ここに、他の2モードが入ってくる余地がある。
ローカル並列実行の管理についてはAgent Viewを使ったローカル並列管理の記事で詳しく扱っているので、本記事は「どの環境で実行するか」という別の軸に絞る。
Claude Code on the Web――PC不要でクラウド実行
claude.ai/code にアクセスすると、Anthropicのクラウドインフラ上でセッションが動く。手元のPCは関係ない。ブラウザ一本で完結する実行環境だ。
何ができて何ができないか
GitHub認証でリポジトリを接続し、セットアップスクリプトで依存パッケージをインストールして、あとは普通にClaude Codeを使う。CI失敗やレビューコメントに対してPRを自動修正する機能もある。並列セッションも立ち上げられる。
一方、ローカルファイルへのアクセスはない。GitHubリポジトリ経由のみだ。ローカルで組んだMCPサーバーも使えない(クラウド側で構成し直す必要がある)。
こういうときに使う
- 未cloneのリポジトリにすぐ手を入れたいとき
- 出先のPC(自分のセットアップがない端末)からコードを触りたいとき
- ブラウザを閉じてもセッションを継続させたいとき
セッションはクラウドに残るため、途中で離脱して後から戻ることができる。モバイルアプリから状態を監視する使い方も可能だ。
対応プランはPro・Max・Team・Enterprise(premium seatsまたはChat + Claude Code seats)。API keyのみの契約では利用できない点に注意。
Remote Control――ローカルのセッションをブラウザから操作
Web版とは逆の発想がRemote Controlだ。セッション本体は手元のマシンで動き続ける。そこへブラウザやモバイルアプリが「窓」として接続する。
起動コマンド
Claude Code v2.1.51以降で使える。起動パターンはいくつかある。
claude --remote-control
claude --remote-control "My Project"
# サーバーモード(複数クライアントに対して純粋に窓を提供)
claude remote-control
# 進行中のセッション内で有効化
/remote-control
# または短縮形
/rc全セッションでデフォルト有効にしたい場合は /config から「Enable Remote Control for all sessions = true」に設定する。
主なフラグ
| フラグ | 内容 |
|---|---|
--name "My Project" | セッションのタイトルを設定 |
--spawn same-dir | 同一ディレクトリで全接続クライアントが共有(デフォルト) |
--spawn worktree | 接続ごとにgit worktreeを作成 |
--spawn session | 単一セッションモード(追加接続を拒否) |
--capacity | 最大同時セッション数(デフォルト32) |
--sandbox | サンドボックス実行 |
モバイルから接続する
起動時にターミナルにURLが表示される。スペースキーを押すとQRコードが出て、スマホカメラで読み取るだけで繋がる。claude.ai/code のセッション一覧から選ぶこともできる。
v2.1.110以降ではプッシュ通知が使える。長時間タスクが完了したタイミングや、判断が必要になったときに通知が届く。「テストが終わったら知らせて」とプロンプトに書けば明示的に要求もできる。
こういうときに使う
- ローカルのMCP環境やファイルはそのままにしたい
- 外出中に作業の進捗を確認したい、続きを指示したい
- スマホから「ちょっとコマンドを追加して」程度の操作をしたい
Discord連携(Channels経由)で外部から指示を出す方法についてはClaude Code Discord連携の記事に詳しいが、Remote Controlはより双方向なリアルタイム操作に向いている。
Teleportでセッションを渡り歩く
Web版で動かしていたセッションをローカルに引き上げる、あるいはその逆をやりたいとき、--teleport フラグが使える。
# クラウドセッションをローカルに引き上げ(対話的に選択)
claude --teleport
# セッションIDを直接指定して引き上げ
claude --teleport <session-id>
# 進行中のセッション内から
/teleport/teleport を実行すると、リポジトリ状態の検証・リモートブランチのpullとチェックアウト・会話履歴のロードが自動で走る。「クラウドでやっていた作業を、自宅に帰ってから手元の環境で続ける」という使い方がスムーズになる。
なお、Ultraplanを起動するとRemote Controlが切断される。同じ claude.ai/code のUIを両方が使うためだ。Ultraplan終了後に再接続したい場合は、改めて claude remote-control を起動する。
どれを使うか――判断マトリクス
| 状況 | 向いているモード |
|---|---|
| 自分のPCで普通に作業 | ローカルCLI |
| 出先・未cloneリポジトリ・ブラウザのみ | Claude Code on the Web |
| ローカル作業中・外からモバイルで続けたい | Remote Control |
| クラウドで始めた作業をローカルに引き上げたい | Teleport(--teleport) |
| ローカル作業をクラウドに移したい | Teleport(/teleport) |
| Discord等のチャットから指示したい | Channels(Discord連携記事参照) |
正直なところ、私が一番使うのは「Remote Control + モバイルプッシュ通知」の組み合わせだ。自宅PCでビルドを回しながら外出して、完了通知を受け取って確認するだけ、という使い方が思ったより便利だった。
制約と注意点
Claude Code on the Web
- Pro/Max/Team/Enterprise対象のResearch Preview段階
- レート制限あり
- ローカルMCPサーバー・ローカルファイルへのアクセス不可
Remote Control
- ローカルプロセスが落ちるとセッションも終了する
- ネットワーク断が10分以上続くとセッションタイムアウト
- Ultraplan起動時は切断される(再接続は
claude remote-controlを改めて起動) /mcp、/plugin、/resumeはローカルのみで使えるコマンド(リモートからは実行不可)- Team/Enterpriseは管理者が設定でRemote Controlを有効化する必要がある
認証
どのモードも claude.ai のOAuth認証が必須だ。APIキー認証のみの環境では使えない。Bedrock経由(CLAUDE_CODE_USE_BEDROCK 環境変数)とも非互換なので、環境を切り替えて使っている人は注意が必要だ。
まとめ
Web版は「どこでも動かせる」ための実行環境で、Remote Controlは「手元の環境を手放さずに外から触る」ための窓だ。Teleportはその2つを行き来するためのブリッジになる。
出先でブラウザしかないならWeb版。ローカルのMCPや設定を維持したままスマホから覗きたいならRemote Control。クラウドとローカルを状況に応じて切り替えたいならTeleport。使い分けが頭に入ると、「PC持ってこなきゃよかった」という後悔が減る。
試してみるなら、claude --remote-control でローカルセッションを起動して、スマホでQRコードを読み取ってみてほしい。

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