ターミナルが複数のClaude Codeで溢れていた話
「APIリファクタをClaude Codeに任せながら、別のウィンドウでテスト修正を走らせて、もう一枚でPRレビューをさせる」——気づくとターミナルのタブが5枚になり、どのセッションが何をやっているかわからなくなる。私も先週まさにこの状態に陥っていた。
作業中のセッションに割り込んでプロンプトを打つと、途中の思考が吹っ飛ぶ。かといって全部終わるまで待つのも非効率。そんなジレンマを解消するために、2026年5月11日のv2.1.139でリリースされたのが Agent View だ。同バージョンで追加された /goal コマンドの姉妹機能として、複数のClaude Codeセッションを1画面で可視化・操作できる。
Research Previewという位置づけではあるものの、実際に使い始めると「これがなかった頃はどうしていたのか」と感じる。
Agent Viewとは何か
claude agents をターミナルで実行すると専用のリスト画面が開く。実行中のすべてのBackground sessionが状態別に並び、どのセッションが応答待ちで、どれが作業中で、どれが完了したかが一目でわかる。
セッションの状態はアイコンで表現されている。
| 表示 | 状態 |
|---|---|
アニメーション ✽ | Working(実行中) |
| 黄色ハイライト | Needs input(入力待ち) |
| 暗色 | Idle |
| 緑 | Completed |
| 赤 | Failed |
| 灰 | Stopped |
PRを開いたセッションには行末に状態ドットが付き、そこからPRページに飛ぶこともできる。
キーボードショートカット一覧
| キー | 動作 |
|---|---|
↑ / ↓ | セッション間を移動 |
Enter / → | 選択セッションにアタッチ(フル会話に入る) |
Space | Peek panel表示(直近の出力を手早く確認) |
Shift+Enter | ディスパッチ+即アタッチ |
←(空入力時) | デタッチしてAgent Viewに戻る |
Ctrl+S | グルーピング切替(状態別 / ディレクトリ別) |
Ctrl+T | セッションをピン留め |
Ctrl+R | セッションをリネーム |
Ctrl+X | セッション停止(2秒以内に再押下で削除) |
? | ショートカット一覧を表示 |
Space のPeek panelが特に便利で、アタッチせずに直近の出力だけ確認できる。「このセッション今どこまで進んでるかな」という確認だけならPeekで十分で、会話への割り込みなしに全体を俯瞰できる。
セッションの起動とシェルからの管理
Background sessionを起動する
# Agent Viewを開く
claude agents
# バックグラウンドで直接タスクをディスパッチ
claude --bg "investigate the flaky SettingsChangeDetector test"
# 名前をつけて起動(Agent Viewで識別しやすくなる)
claude --bg --name "flaky-test-fix" "flakyテストを調査して修正案を出して"
# サブエージェントを指定してバックグラウンド起動
claude --agent code-reviewer --bg "PR 1234のレビューコメントに対応して"実行中のインタラクティブセッションを手動でバックグラウンドに移すこともできる。セッション内で /bg(または /background)を打つか、空のプロンプト状態で ← を押すと、現在のセッションがBackground sessionになってAgent Viewが開く。
シェルからセッションを管理するコマンド
claude attach <id> # セッションにアタッチ
claude logs <id> # 最近の出力を表示
claude stop <id> # 停止
claude respawn <id> # 再起動(会話は保持)
claude respawn --all # 全セッション一括再起動
claude rm <id> # 削除
claude daemon status # supervisorプロセスの状態確認Background sessionの仕組みと注意点
Agent Viewの裏側では「supervisor process」と呼ばれるユーザー単位の常駐プロセスがすべてのBackground sessionを管理している。各sessionは独立したClaude Codeプロセスとして動作し、約1時間アタッチがなければプロセスが停止するが状態は保存されるため、次回操作時に再開できる。マシンのスリープを跨いで生存するが、シャットダウンすると停止する(claude respawn で再開可能)。
quota消費について
Background sessionはそれぞれがサブスクリプションのquotaを独立して消費する。10セッションを並列で動かせばquota消費は10倍のペースになる。Pro($20/月)プランで何も考えずに並列を増やすと、短時間でレートリミットに達してしまう。並列化でガンガン回すなら Max プランが前提になると考えておいたほうがいい。
worktreeとファイル編集の分離
v2.1.143以降のデフォルト動作として、各Background sessionはファイル編集を始める前に .claude/worktrees/ 内のgit worktreeに自動で移動する。複数のセッションが同じリポジトリで同じファイルを同時に書き換えても衝突しない。
気をつけなければいけないのが「セッション削除とworktree削除の連動」だ。Agent View上でセッションを削除すると、そのセッションが使っていたworktreeも一緒に消える。未コミットの変更がある場合はworktreeが残るが、それ以外はCleanupされてしまう。セッションを削除する前に、必ず変更をコミットまたはプッシュする習慣をつけたい。
worktreeによる分離を無効にしたい場合は、.claude/settings.json に以下を追記する(v2.1.143以降で有効)。
{
"worktree": {
"bgIsolation": "none"
}
}SubagentsやAgent Teamsとどう違うのか
並列化関係の機能が増えてきたので、関係性を整理しておく。このブログではワークフローパターンの記事でも並列化の概念を扱っているが、Agent Viewの文脈でシンプルに比較すると以下のようになる。
Subagentsは1セッション内でコンテキストを分離して実行する。複数タスクを1会話の中で捌く場合に使う。Agent Teamsは複数のセッションが互いに通信しながら協調する実験的機能で、Agent Viewはそれらを俯瞰・操作する管理レイヤーだ。git worktreesはファイルシステムの並列分離を担う、ストレージ層の話になる。
排他関係ではなく、組み合わせて使うものだ。Agent Viewが「全体の指揮台」で、その上でSubagentsやAgent Teamsが動くイメージ。
Skill設計の記事やHooks実例の記事で整備した設定が、Agent View配下のBackground sessionでもそのまま有効に機能する。
なお、同じv2.1.139でリリースされた /goal コマンドについては5/18の記事で詳しく扱っているので、こちらと合わせて読むと新機能の全体像をつかみやすい。
このブログ(blog-agents)での活用イメージ
このブログのシステム(blog-agents)は現在、researcher → writer → tone-checker → plagiarism → auditor という順次協調パイプラインで動いている。テーマが1つなら問題ないが、複数テーマを同時に記事化しようとすると前のテーマが終わるまで次が始まらない。
Agent Viewを組み合わせると構成が変わる。「テーマA:Context Engineering記事」「テーマB:Discord連携記事」を同時にAgent ViewからDispatchし、それぞれが独立したworktreeで執筆を進める。私(監督)はメインターミナルでAgent Viewを眺めながら、「Needs input」が点灯したセッションだけPeekして返答する。すべて完了したらPRをまとめてレビューする——という流れだ。
ただし冒頭で触れたquota問題があるので、Proプランのまま5テーマ同時というのは現実的でない。まずは2〜3本を並走させる程度から試してみるのが手堅い。
まとめ
Agent ViewはClaude Codeの使い方を「1タスク逐次処理」から「並列監督」に変える。ターミナルに散らばっていたセッションが1画面に集約され、Peekで進捗確認、Attachで介入、デタッチで戻るというフローが成立する。
Research Previewのためショートカットや仕様は今後変わる可能性もある。使い始めは ? キーでヘルプを確認しながら操作するといい。セッション削除前の「commit/push確認」だけは早めに身体に入れておきたい。うっかり削除するとworktreeごと消えるので、一度やると忘れない。
Pro/Max/Team/Enterprise/Claude APIいずれかのプランで claude --version がv2.1.139以降であれば、今すぐ claude agents を実行できる。バックグラウンドに1セッション走らせながら、Agent Viewの画面を眺めてみてほしい。

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